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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ33
書 名:続リンバロストの乙女
原 題:A Girl of the Limberlost
著 者:ジーン・ポーター
訳 者:村岡花子
初 版:S32.11.15
備 考:本邦初訳・翻訳権所有
  原書では1冊ですが秋元版では正続2冊に分かれています
  正編ジュニアシリーズ27
 貧しさに負けない向学心と明るい魅力的な性質の乙女エルノラは既に前篇を読まれた方の、忘れられない心の友となっていることでしょう。
 この続篇でも大学進学の為に昆虫採集のアルバイトは続きますが、或る日、都会から病気療養に来ていたステキな青年フィリップに出逢いました。仲良しになるにつれて青年はエルノラの頭の良さに驚いてしまい、昆虫採集にも興味をおぼえて手伝ってくれるようになりました。エルノラは素晴らしい花壇に案内したり、お母さんに紹介したり、まるで夢のような楽しい日が過ぎていきました………。
 フィリップのフィアンセであるエディスは、リンバロストの森から帰ってきたフィリップの変わり方に気付きます。そして舞踏会の最中に飛び込んできた蛾を捕えようとして夢中で追い回すフィリップの姿に、すっかり腹をたててしまいます。その蛾こそエルノラの探していた「黄色の帝王蛾」だったのです………。
 続篇はエルノラとフィリップのロマンスにはじまりますが、この物語中には、エンゼルと結婚した『そばかす』が再び登場してきます。愛読者の方には懐かしいことでしょう。
    主 要 人 物
エルノラ・コムストック ― 本篇の主人公。3才のとき父を失い、リンバロストの森で自然を友として育った少女。芸術と自然を愛し、感受性の強い明るい性格で、珍しい蛾や蝶の標本を作り、その収入を学資にして大学進学を志している。
キャサリン(ケート)・コムストック ― エルノラの母。愛する夫を森の沼で失ってから頑固な心の冷たい女になったが、エルノラの成長とともにかたくなな心もほぐれてくる。
フィリップ・アモン ――― オナバシャ市の医者アモン博士の甥。ハーバード大学出身の秀才の青年。病後療養のためシカゴからオナバシャへやってきてひと夏を過し、リンバロストの森でエルノラを知る。
エディス・カー ――― フィリップの幼な友だちで婚約者。おしゃれと社交に夢中になっているわがままな金持ちの令嬢。
ハート・ヘンダソン ――― フィリップの学友。エディスに想いを寄せている。
トム・ビリー ―― 大酒飲みの父の急死で孤児になった少年。ジミー及びベルという弟妹がある。
ウェスレイ・シントン ―― コムストック家の隣りのおじさん。エルノラをわが子のように可愛がる。
マーガレット ―― ウェスレイおじさんの奥さん。
テレンス・オ・モーア ―― 少年の頃そばかす≠ニ呼ばれて、リンバロストの森番をしていた孤児だか、いまでは美しい妻エンゼルとともにグランドラピズで大きな材木商を営んでいる。
エンゼル・オ・モーア ―― その名の通り天使のように心も姿も美しい女性。
裏 表 紙 解 説 よ り
 本書は、ジーン・ポーター女史の名作「リンバロストの乙女」の続篇ですが、原書では一冊となっています。日本語版前篇が少女エルノラが少女期から町の高校をめでたく卒業する日までをえがいた、いわば学校編≠ナあるのに対し、この続篇は、リンバロストの森でふとしたことから知り合った青年フィリップの烈しい求愛によって、エルノラが初めて経験する愛と苦しみをテーマにした青春編≠ニして、独立して読める物語となっています。
 オナバシャ高校を優秀な成績で卒業した森の乙女エルノラは、久し振りになつかしいリンバロストの森の我が家に帰って、お母さんと二人で暮らすことになりました。エルノラが3才のとき、お父さんが森の沼地で溺死して以来、妙にがんこで意地悪だったお母さんの心もやっとほぐれて、この頃では大好きなバイオリンを弾くことも、蛾の標本を集めることにもいやな顔を見せなくなってきていました。大学へ行ってもっともっと勉強したいというのがエルノラの切なる希望でしたが、学資にあてるつもりでせっせと採集してきた蛾の標本も、一番かんじんの「黄色の帝王蛾」がみつからないためにまだお金に代えられないのです。
 そんな失意のころ、エルノラは森の中で出会った一人の青年と自然の神秘と美しさについて語り合って、二人は互いに心をひかれ、清らかな友情をむすびます。青年は、オナバシャの医者アモン先生の甥でフィリップといい、病後療養に夏の間だけやってきているハーバード大学出の秀才でした。しかし彼には都会にエディスという美しい婚約者がありました。おしゃれと社交に明け暮れるブルジョアのお嬢さんと、学問と芸術を愛し、つつましい愛の思想に生きる野育ちの魅力あふれる少女エルノラの間に立って、フィリップは烈しい恋に悩みます………。


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