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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ27
書 名:リンバロストの乙女
原 題:A Girl of the Limberlost
著 者:ジーン・ポーター
訳 者:村岡花子
初 版:S32.08.05
備 考:本邦初訳・翻訳権所有
  原書では1冊ですが日本版では正続2冊に分かれています
  続編ジュニアシリーズ33
  正編…エルノラが少女期から町の高校を卒業する日までをえがいた学校編
  続編…リンバロストの森で知り合った青年フィリップの烈しい求愛によってエルノラが初めて経験する愛と苦しみをテーマにした青春編
 エルノラは、リンバロストの森の中の貧しい家で生い育ちました。お父さんは小さい時に事故で亡くなり、お母さんだけに育てられたお母さん子なのです。お母さんは税金に苦しめられ、とても娘を高校に入れることなど出来ませんでしたが、エルノラはお母さんの反対を押しきって町の高校に入りました。
 なにしろ田舎娘ですから、始めはその田舎臭い洋服等を皆に笑われましたが、明るくてね魅力的な性質のため、たちまち皆の人気者となってきました。
 彼女には、月謝や教科書を買うお金がありません。そこで彼女は自分の好きな昆虫を収集し、世界で珍しい蛾の標本を作り、それを売ってお金を貯めます。リンバロストの森の中に秘密のかくし箱をおいて、お金や標本を隠しておきますが、ある夜その箱を、同級生の不良にみつけられてしまいます。そこでエルノラは………
    主 要 人 物
エルノラ・コムストック ― 本篇の主人公。3才のとき父を失い、リンバロストの森で自然を友として育った16才の少女。感受性にとんだ明るい性格で向学心に燃え、町の高校へ入学する。
キャサリン(ケート)・コムストック ― エルノラの母。夫を森の沼で失ってから頑固な、心の冷たい女になり、娘にも邪険にする。
ウェスレイ・シントン ―― コムストック家の隣りのおじさん。エルノラをわが子のように可愛がる。
マーガレット(マギー)・シントン ―― ウェスレイの妻。
鳥の小母さん ―― 町の博物学者でリンバロストの森の動植物を研究し、特に蛾の標本の世界的収集家。
トム・ビリー ―― 大酒飲みの父が急死したため孤児になった少年。ジミー及びベルという妹と弟がある。
ビート・コーソン ─ エルノラが小学校時代から知っている若者。不良仲間にはいっている。
ヘンリー先生 ─― 高校の数学教師。
裏表紙 解説より
 「リンバロストの乙女」は、さきに秋元書房から刊行されてラジオや新聞雑誌で絶讃を博している感動的な青春名作「そばかす」とともに、20世紀初頭のアメリカ女流作家ジーン・ストラットン・ポーター女史の最大傑作と言われるものです。「そばかす」に続いて書かれた作品ですが、出版されるや、たちまちものすごい人気を呼んで、全米の若い人たちや家庭で話題になった小説です。
 アメリカの過去60年間に100万部以上売れたベスト・セラーをしらべた「ベスト・セラーの60年」という本をみますと、306冊のリストの中にジーン・ポーター女史の三大名作 ─― 「そばかす」「リンバロストの乙女」「若い人」(Laddie)が、「風と共に去りぬ」などと伍して堂々と名をつらねています。
 いずれも200万部を越える発行部数を記録しており、未だベスト・セラーという言葉もあらわれず、廉価なポケット版の大量生産も行われなかった20世紀初頭の出版物がこれだけの売れ行きを示したことは、驚くべきことで、いかに広汎な読者の支持を得たかがこれだけでもうかがえます。豊かな詩情と清らかな人生的感動にみちたポーター女史の作品が、数多い青春小説のなかでも独自の価値を今日も持ち続けていることは、年々歳々版を重ねていることが証明しています。
 この小説は「そばかす」と同じように北米インディアナ州のリンバロストの森林地帯が背景になっており、そこの沼地のはずれにある家で珍しい動植物を友として育った16才の少女エルノラが、町の高校に入りめでたく卒業するまでが、ここに訳出された本のテーマになっています。
 少女エンゼルと結婚したそばかすや、町の博物学者「鳥の小母さん」も登場しますので、ある意味で「そばかす」の姉妹篇とも言えるでしょう。天使のように明るい性格を持ち、向学心に燃える少女エルノラが、いかに人生の苦難に耐え抜いて、真実の幸福をつかんだかが、描かれています。
本書は、村岡先生が1年以上の月日をかけて翻訳された、正続2冊のわたる完訳版の1冊目です。村岡先生の麗筆による感動的な名作をお楽しみ下さい。


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