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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ15
書 名:ジュリーは十六才
原 題:Going on Sixteen
著 者:ベティ・カヴァナ   訳:永井比奈子
初 版:S31.12.15
備 考:本邦初訳
     文庫版あり秋元文庫翻訳ものシリーズC6
16才になることそれはとても嬉しいことですがまた苦しいことです。

 ジュリーは少女らしいお行儀や作法もよくしらず、はにかみやで、社交性にかけています。町の高校に通っていますが、特別美しくもないので、クラスの中でも問題にされず、デイトに誘うボーイフレンドも殆んどなく一種の劣等感に苦しんでいます。孤独なジュリーを慰めてくれるのはソニーという仔犬だけです。ところが学校のポスター・コンテストで一等賞になり、一躍人気者になりました。ジュリーはいますこしで16才になるのです。

    主 要 人 物
ジュリー・ファーギュソン ― メドーブルック高校の1年生。ひそかに画家になることを夢みているが、生来の内気と社交下手のため友達もなく劣等感に苦しんでいる。
トム・ファーギュソン ―― ジュリーの父親。フィラデルフィアの郊外に農場を営み、犬の飼育が上手。
ディック ─―― ジュリーの幼な友達の少年。
フィリップ・ロンスデール ― 東部で立派なコリー犬の飼育場を経営している紳士。
ソニー ─―― 純血コリー種の仔犬。ロンスデール氏の犬だが、ジュリーの献身的な愛情によって見事に成長する。
ジョン・フォード ─― ディックの従兄。
アン ─――― ジュリーの級友。クラス一の美人。
コニー・ブレーク ―― ジュリーの級友。社交上手なやさしい少女。
ヘレン・グレーブス ―― コニーの叔母。フィラデルフィアの出版社の美術主任リットン夫人の秘書。
ファーレル先生 ――― 美しい新任の絵の先生。ジュリーの画才を発見してやさしく指導してくれる。
裏表紙 解説より
 早く16才になること ―― これが高校1年生ジュリー・ファーギュソンのひそかな夢であり野心なのです。でもクラスのだれにもこのことは話していません。彼女は人前に出るとろくに口もきけないほど大変なはにかみ屋で、まるで自分というものに自信がないのです。 フィラデルフィア市に近い農園で、お父さんの手一つで育てられたため、ジュリーは少女らしい礼儀作法もよく知りません。
 毎日丘の上からスクール・バスでメドーブルック高校へ通っていますが、とくべつ美しくもなく社交下手のジュリーはクラスでも問題にされず、デイトに誘うボーイもほとんどありません。たった一人のボーイ・フレンドである幼な友達のディックさえ、この頃は他の女の子とパーティへ出かけたりして、いよいよ彼女を悲しませ、やがて、自信喪失・焦燥感・孤独感はジュリーをはげしい劣等感のとりこにして苦しめます。 それは、思春期の少女のだれもが多かれ少なかれ経験する悩みなのですが、ジュリーはこんな苦しみをなめるのは世の中で自分だけだと思っています。
 楽しいはずの夏休みを迎えてもいよいよ孤独なジュリーの唯一の慰さめは、ソニーという名前のかわいい純血コリー種の仔犬でした。ソニーをりっぱな犬に育てることへの献身と愛情の中に、生きるよろこびと尊さを学びとった彼女はやがて、学校のポスター・コンテストで一等賞をとったことから、自分の才能に自信を持ち、今までの理由のない劣等感から解放されました。「高校を卒業したら美術学校へ行くつもりよ」と級友に平気で告げうるほど、彼女は自信をもった少女に成長していました。 ジュリーはいますこしで16才になるのです。

 このすばらしい物語の作者ベティ・カヴァナは、いまアメリカでティーン・エイジャーにもっとも人気のある女流作家で十数冊の十代向きの小説を書いていますが、『ジュリーは十六才』はいちばん評判の高い名作です。十代の少年少女が体験する問題に深い理解と同情をもつ作者が十代の言葉で書いたこの小説は、わが国の若い読者からも大歓迎されるにちがいありません。


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