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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ211
書 名:ねむたい
著 者:川上宗薫
初 版:S39.10.10
備 考:この表紙のモデルは、高校卒業直前の大原麗子さんです。
       Y193、Y195のカットと同じときに撮影されたもの
 成績はともかく、いねむりでは学校一のねむたがり。カンニングのため勉強以上の苦労をする劣等生など、珍無類の高校生7人の物語を集めた傑作集
 木野ゆかりは、ねむたがりやである。授業ちゅうに眠ることもあるし、電車の中で眠ることもある。知らず知らずのうちに電車のなかで、隣の男性の肩によりかかっていることだってたまにはある。彼女は少し太っているのだ。太っている女の子は、えてしてねむりんぼうが多い。
 木野ゆかりは高校2年生である。クラスにはもうひとり、ねむりしんぼうの滝田盛光という男の子がいる。
 ある日、英語の桜井先生は、「このクラスには、学校きっての傑作が、くしくもふたり同居している。つまり、いいかね」と、
 黒板にチョークで「We have two sleepheads in this class.」と書いた。sleepheads とは字引きでひけば「ねむたがりや」とでている。
 ゆかりは、まっかになり、うつむいてしまった。だがその時、英雄滝田盛光は、字引を開いた上に顔を伏せて眠っていた。これによって滝田こそ、ねむたがりやのチャンピオンであることが立証されたのである。
 一つ思いきってゆっくりねようと、ゆかりと滝田は腹ごしらえをして、環状線に乗った。窓からは風がはいってくる。国電での昼寝はまた格別である。だが、のんきに眠っておれない事件がまっていたのだ。
 本書はこの他、6篇の高校小説を収録した傑作集。
   《収 録 作 品》
 「ねむたい」「タイムリー・アンド・ラッキー」「幻の手紙」「イブの夜ふたりは」「ダブル・デート」「降ってきた女の子」「くれないの歌」