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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ200


「貴様と俺とは」の舞台になっている新宿高校
書 名:貴様と俺とは
著 者:寺内大吉     さし絵:赤坂三好
初 版:S39.05.25
備 考:ノンフィクション
天下の秀才校・新宿高校のかつてのワンパクたちの愉快な活躍
 毎年、東大に100名近い合格者を出す新宿高校(旧府立六中)は、東京新宿の一角にあり、天下の秀才校として名高い。
 著者はここの第13回生。中学時代を回顧、調子はずれの詩吟をうなる初代安部校長をはじめ、鬼よりこわかった諸先生や、クラスの秀才、珍才を俎上にのせ、往年のワンパクぶりを告白。
 通学電車で一緒になる女学生たちの一覧表を作り、あげくの果て、ラブレターを出してつかまったり、隣りの新宿御苑へのしのびこみ、あるいは、カンニングの新手の考案、エスケープ、アルバイト、初恋、失恋、受験勉強と、現代に通ずる青春時代の楽しさとほろ苦さを描きつくした本書は、貴重な思い出の記≠ナある。
 同級生の多くを、その後の戦争で失った著者は、「ぼくはこの悪文を書きつづりながら、いくたびか懐旧の涙にむせんだことだらう。むろん書きつづったものは、おちゃらかしばかりだったが、ぼくの目は、この道化の背後に立っている沈黙の青春像を、いつもじっと見つめているのだ。それはぼくのまぶたに、幼な顔だけを残して消えていった友人たちである」と語っている。