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表 紙 | 説 明 | |
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秋元書房ジュニアシリーズ105 |
書 名:あすなろ学園 著 者:戸川幸夫 さし絵:大倉道昌 初 版:S35.05.30 備 考: | |
『 あ す な ろ 学 園 』に つ い て 舞台は雪でおおわれた東北の鷹山中学。大学を卒業したばかりの熱血児吉野先生や温厚な久保校長、美人の竹田先生を中心に、現代の中学生の学校生活を赤裸々に描いた学校小説。 吉野健児は大学を卒業すると東北の中学に赴任した。彼はともすれば無気力になりがちな生徒をむち打って教育に熱血をそそいだが……。 米沢は吾妻連峰に近く、山形県のうちでも特に雪深い所。この町の鷹山中学へ、米沢や米沢人についてまったく白紙である新任校長が迎えられた。名は久保仁道、彼は佐賀県の禅寺の出身で、鷹山中学の前には、東京で二、三の中学校長を勤めたことがある。赴任第一日目、久保校長が生徒からはじめて耳にした言葉は、自分のニックネーム「坊んつぁん」であった。彼のテカテカに禿げていた。 始業式の日である。新2年生になった茶目の東海林宏、岡田鉄雄、鈴木敏夫、よく勉強のできる皆川信太郎、橋爪美沙子たちは、校舎の前に「あすなろ」の木を植えている久保校長から、未来に向かって努力する「あすなろ」の精神を説かれた。だが、そのとき皆川信太郎は、湯気の立つ校長のはげ頭を見て、「たこ」というニックネームを思いついた…。 | ||
主 要 人 物 久保仁道 ――― 東京の中学から米沢の鷹山中学へ赴任してきた校長先生。頭がはげているので「坊んつぁん」というニックネームがある。 吉野健治 ――― 東京の大学を卒業したばかりの数学教師。 竹田品子 ――― 2年B組の担任教師。 須貝はる恵 ―― 2年B組の生徒。酒造家の娘で美人。 橋爪美沙子 ―― 公務員の娘で、勉強がよくでき、人気者。 皆川信太郎 ―― まじめで勉強のできる生徒。 香坂吾一 ――― 家が貧しいため、養殖場へ働きにでている生徒。 岡田鉄雄 ――― 機屋さまと呼ばれる鉄右衛門のひとりむすこ。 平賀道子 ――― 養鯉業者のひとり娘。ねたみの強い娘。 渡辺愛子 ――― 意志が弱く、平賀道子にひきずり回されている。 雪代かよ子 ―― おとなしく、思いやりのある娘。 岡村悦子 ――― 成績はいいが、家が貧しく進学のできない生徒。 |
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巻 末 あ と が き よ り この小説を書いた動機は、中学生の本当の幸福とは、いったいどこにあるのだろうか? 何だろう? と自分の歩んできた道をふりかえりながらそんなことを皆さんと一緒に考えてみたかったからです。 舞台は東京でも、大阪でも、ほかのどこでもよかったのですが、東北地方の米沢市にもとめました。 それは私自身、学生のころから米沢をたびたび訪問して、よく知っていたからです。 新しさと古さの入り混じった町、それが今日の米沢です。 そうした町を舞台にして書きたかったのです。 明日の光をもとめ、希望に燃えるのが青少年でありましょう。 立派な人間に成長しようと心がけ、努力している中学校の生徒たちが、先生との結びつき、友情やほのかな愛情などに育まれながら、日一日と強く、大きくなっていく姿を書きあげてみたいと思ったのでした。 『あすなろ』というのは檜によく似た木です。私はこのあすなろの木が好きです。あすなろという名も好きです。 「明日は檜になるぞ、檜のような立派な大木に成長するぞ」 そう努力している木だといわれています。明日に希望をかけて、一生懸命にはげんでいる『あすなろ』の気持ちは、そのまま中学生諸君の生き方だと思うのです。 ぜひ、皆さん、立派な『あすなろ』になってください。 《後 略》
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