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表 紙 | 説 明 |
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秋元書房ジュニアシリーズ103 |
書 名:海ぞいの道 著 者:芹沢光治良 初 版:S35.04.30 再版:S40.06.30 備 考: |
『 海 ぞ い の 道 』に つ い て 第一高校3年生、鈴木進太は水泳部のホープだった。3年になるとまもなく、彼は水泳選手として身を立てるか、実力で国立大学に進学するかを決定しなければならなくなった。しかも、学校側が進学対策部をもうけたので、国立大志望者は、運動部を退部して、補習授業に専念せねばならない羽目になった。迷いぬいた進太に最後の決断をさせたのは、水泳を捨てて東大に進んだ杉山先輩のことばであった。 「おまえに他に能力がなかったら、泳げよ。かつおより速く泳ぐんだ。人間になろうとなんて考えないでさかなになるんだ。だが、僕は、さかなになりたくなかっただけだ。」 進太は国立大学進学を決意して水泳部を退部した。一方運動部員は、学校の方針に反対して同盟休校をはじめた。そして、オリンピック候補とまでいわれていた進太をエゴイストの裏切り者とののしりはじめた。 そんなある日、進太は同級の相原咲子から「私のげた箱に変な手紙を入れたのはあなたでしょう」と問いつめられた。身におぼえのない彼は、その手紙を書いた犯人をさがそうと決心して、親友の小山に応援をもとめた。折から、オリンピック東京開催の報が伝わり、S県をあげて水泳熱が高まってきたが……。 これはクラブ活動と受験勉強の間にはさまれた一高校生を中心に、現代の高校生活のありのままの姿と、異性に対する淡い慕情を描いた問題作である。 | |
主 要 人 物 鈴木進太 ―― 第一高校3年生で水泳部員。将来水泳選手として身を立てるか、それとも水泳をあきらめ、受験勉強に専念して東大を受験するか、迷っている。 相原咲子 ―― 進太と同じ3年A組。成績も10番以内で、美人でもあるから、全校生徒の注目の的になっている。 杉 山 ―― 第一高校から、ストレートで東大に進学した進太の先輩で、昔は進太同様期待された水泳部員であった。 小山 清 ―― 3年A組でボート部員。成績もよく、東大を志望している。相原咲子のいとこ。父は銀行頭取をしている。 野田 健 ―― 1年生の水泳部員。水泳がずばぬけてうまく、また進太を兄のように慕っている。 小堀純子 ―― 3年A組。小がらで色が黒く、目立たない生徒。母は芸者をしている。 |