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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ97
書 名:白銀のかなた
原 題: 
著 者:ベティ・カヴァナ
訳 者:田中小実昌
初 版:S35.01.30
備 考:翻訳権所有
   『 白 銀 の か な た 』 に つ い て
 高校二年のアンジェラはスキー場で、大学一年でジャンプ選手のグレッグと知り会った。二人は一年に一度、スキー場で逢う約束をしたが……
白銀の冬山を舞台に描いた明るい高校スキー小説
   前 号 紹 介 記 事 よ り
 アンジェラの家は山の麓にあって、スキー・シーズンになると、スキー客の宿になった。高校1年の時からスキーを習い始めた彼女は、2年の冬にはもうスキー競技大会に出場できる程の腕前になった、ある日、アンジェラは、山のスロープで、ダーツマス大学の1年生でジャンプの得意なグレッグという青年と知り合った。彼女は男らしい彼が一番で好きになってしまった、それは、今まで経験したことのない激しい感情なのだ。彼女は、今までスキーだけに夢中になっていて、自分の容姿にはちっとも気を付けなかったことを恥ずかしく思った。彼女はグレッグに自分をよく見せようと願い、それはスキー大会でいい成績をとることだと思った。アンジェラは必死になって練習した、だが、競技大会ではみごとに失敗してしまった。

 春の訪れと共にグレッグは大学に帰ってしまった。アンジェラが彼を想う心は日に日に強くなった。彼女はグレッグに長い手紙を書いた。そして、グレッグからも返事がきた。二人は度重く文通を交わした。逢いたいと思っても、冬までは逢えないのだ。そんなある日、アンジェラは、同級生のバーバラもグレッグと文通していることを知った。彼女の胸は嫉妬で燃えた……。

 冬がきた。アンジェラは16才になった。そして、待ちに待ったグレッグが再びスロープに姿を見せたのだ。グレッグは、アンジェラに、彼女が競技大会で失敗しても好きだと言った。人より上になろうと夢中になっている女の子よりも、人の秀れていることを賞める女の子の方が好きだと言ったのだ。彼女は、今まで自分があまりにグレッグに見せようと、がんばりすぎていたことを反省した。そう思うと、失敗してもスキーほど楽しいものはなかった。
 アンジェラはグレッグに誘われて、ダーツマスの冬のカーニバルに行った。そして大学の代表選手として、彼が立派な成績をあげたことを心から喜んだ。二人は、本当に現在の自分たちに満足していた。
 やがて、春がくるだろう。二人は別れなければならないのだが、アンジェラは少しも淋しいとは思わなかった……。