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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ84
書 名:ひまわりの影
原 題:Good-Bye My Shadow  (表紙の表示は"e"が抜けていますね)
著 者:メリー・ストールス
訳 者:飯島淳秀
初 版:S34.08.30
備 考:
   『 ひ ま わ り の 影 』に つ い て
 バーバラは年頃になって性質がかわってしまった。一人になりたい、自分はとても人から好かれない、人気者になれそうもないと思いこみ、劣等感に悩まされるようになってしまいました……。
 みなさんがたの中にも、バーバラのように、みんなから離れて一人になりたいと思ったり、劣等感に悩まされ、自信を失い、この世の中に生きる資格もないのだと思い込んだりしている人がいると思います。15才のころから、すっかり人が変わってしまい、無邪気さがなくなり、もの思いにふけるようになってしまったバーバラは、どのように成長していったでしようか?
 みなさんもこの本をお読みになって、自分とバーバラを比較してみてください。
    主 要 人 物
バーバラ・ペリー ―― オハイオ州ノートン市に住む15才の少女、高校1年生で演劇部員。ひどく内省的な性格のために、いろいろと悩む。
ハル・ぺリー ―― バーバラの父、歴史の教授。
レティ・ペリー ―― バーバラの母、明るい気さくな婦人。
アンドリュー ―― 8つになるバーバラの弟で、なかなかの自信家。
リチャード ――― 6つになるバーバラ弟で、おとなしい子。
マーガレット・オーベマイアバーバラの友達、高校の応援団長。
バーッド・パーカー ―― 高校生の若者。
ランディ・ローソン ―― 同じく高校生。
ケティ・ストライカー ――― ひどい空想癖のある少女。
    「ニューヨーク・タイムズ文芸書評」誌に、この書がとり上げられた時の批評  (解説より)
 「メリー・ストールズは、いつもながら彼女独特のするどい洞察力で、15才の少女が自己憐憫(れんびん)自己関心の殻を少しずつ破ってゆこうとし始めるころの、水銀のように変わり易い気分や、胸の奥深くの思いをみごとにとらえている。
 外側からみれば、バーバラ・ペリーはくよくよ気に病むたねなど、ほとんどなさそうに思われるだろう。可愛らしくて、頭がよくて、楽な暮らしをしている家庭だし、両親も理解があり、明るい二人の弟たちにも恵まれている。だが、そういう表面の下で、彼女は、たいていの若い人たちがそうであるように、引込み思案のために息がつまりそうになっており、孤独であることて、人気がなく不安であることを、ひどく恐れている。自分を思いつめるあまり、ほんとは好きでもない少女とお友達になろうとさえする。
 彼女は何よりも、グループの仲間入り、ことに彼女をパーティに誘ってくれた学校の親密な仲間に入りたいと願っている。小説はこの仲間からの誘いを受けるところから始まって、バーバラはいろいろなことに悩みだすのだ。いろいろな疑問を自分に持ち出し、自分はいったい何だろう、どういものかしらと問い続けてゆくうち、最後にいたって、おぼろげながら、安定感というものは、グループの中よりむしろ、自己の中にあるのだということを悟るのだ。
 この種の小説にはおきまりの、服装とか、ボーイフレンドとか、パーティとか、デイトなどといった共通のものがあるけれど、この小説には珍しく共通でない秀れたものがある。すなわち、年頃の自己関心をぬけだして、自分自身や家族や友人についての、分別ある認識へ移る少女の研究がそれである。これは15才をすぎた人々の心につよく訴えるし、彼らは作者のもつヒューモアのひらめき、ことばづかいのこまやかさ、家族関係への配慮などを、しみじみと味わい、自分たちの成長の悩みを思い出すことであろう」