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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ57


前号新刊紹介記事での装丁


S39年再版の装丁
書 名:エリカの夏・君よ、いつまでも
著 者:佐藤鉄章
初 版:S33.11.15 再版:S39.03.30
備 考:この本がジュニア・シリーズ最初の日本の高校小説
     同時収録 いくたびの門
   『 エリカの夏 』に つ い て
みなさん、エリカって何だか知っていますか、エリカとは別名ヒースといって、バラ色をした花の名です。そしてエリカの花言葉は孤独です。「あの人エリカね」といえば「あの人孤独ね」という意味になるわけです。「エリカの夏」とは「孤独の夏」のことです。
 この小説は、秋元書房がはじめてみなさんにお送りする日本の高校小説です。主人公の未知子は高校1年生で、その夏とても孤独でした。みなさんたちのなかでも「あたしは、なんて孤独なんだろう」と思われるかたがいるでしょう。孤独 ─ エリカは、みなさんたちの年頃に、誰もがいつかは経験するハシカのようなものかもしれません。
 未知子の父は発電所長で、家は山の中の鏡湖のほとりにありました。未知子は森林軌道で町の学校に通っています。学校では、哲学少女というアダ名をつけられ、親しい友達もいませんでした。未知子の孤独の気持は、父だって、母だって、先生だって、本当に理解はしてくれませんでした。風紀係の先生にいたっては危険視して、不良のようにさえあつかったのです。夏休みになって、彼女は保という少年と知り合いました。保は電気を専攻していて、休みを利用して、発電所に来ていました。未知子は、保を一目見た時から好きでした。しかし、二人だけになれる機会はありませんでした。未知子は、やはりエリカでした。
 休みも終りに近づいたころ、やがて故郷に帰る保と未知子は、鏡湖にボートをうかべました。
 やっと二人だけになれたのです。そして……

再版本では、題名を変えた都合か、紹介文が「未知子の父は発電所長で、」で始まり、紹介文中の「エリカ」も「孤独」となっています。
初版に収録
新しいシリーズ発刊に当り全国の中・高校生のみなさんへ

全国800万の中・高校生のみなさんの熱烈なご支持と、ご声援によって生れ、はぐくまれてまいりました小社のジュニア・シリーズは、この(S33年)12月15日をもって創刊3周年を迎え、その刊行点数もケート・ウィギン女史の名作『少女レベッカ』以来、60冊をかぞえるにいたりました。小社独自の企画センスによる作品選定と、カラー写真によるフレッシュな感覚の装幀は、従来の型にはまった少年少女小説にみられない魅力として、読書界にすばらしい反響をよび、赤いパラソルをペット・マークにしたシリーズといえば、中・高校生ならだれでも「ああ、あのステキな本でしょう」といわれるほどの人気と定評を博するまでに成長してまいりました。
 小社では、みなさんのご要望とご支持にこたえてさらに一層の飛躍と充実を期すべく、かねて編集スタッフの全力をあげて検討中の新企画の中から、このたびその第一弾として日本の高校小説と最新の海外文学の名作をあつめたシリーズを刊行することになりました。日本の高校小説は、現代の高校生をテーマにわが国の一流作家が執筆された小説シリーズで、創立以来全国のティーン・エイジのみなさんから圧倒的なご要望のあった企画の夢がここにはじめて実現するものです。若いいのちに燃える日本のティーン・エイジのみなさんがたがこの小説の主人公として登場するものであり、そこにえがかれる喜びと悲しみ、夢とあこがれはすべてあなたがた自身の切実な問題としてかならずや深い感動と共鳴をよばずにはおかないと信じます。新しい外国小説シリーズは、海外で今評判になっているもっとも新しい青春小説をつぎつぎに版権をとり、一流の訳者によって翻訳紹介するものです。
いずれも現代に生きる世界の若い世代をテーマにした作品で従来の十代の名作をあつめたジュニア・シリーズよりさらに文学的香気にあふれたものばかりです。装幀も新しい趣向をこらした斬新な感覚にいたしました。名実ともにジュニアのための良書出版を念願とする小社が、愛情と自信をこめてお贈りするこの新しいシリーズに、みなさんのより一層のご愛読をお願い申し上げる次第です。
秋 元 書 房


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