一覧へ戻る |
表 紙 | 説 明 |
---|---|
秋元書房ジュニアシリーズ34 |
書 名:アンネお嬢さん 原 題:Anne-Karine Corvin bokene 著 者:バルブラ・リング 訳 者:矢崎源九郎 初 版:S32.11.30 備 考:本邦初訳 |
この小説は今までのようなアメリカの少女ではなく、ノルウェーのアンネという少女の15才から17才までの物語です。 アンネは大きなお屋敷のお嬢さんですがものすごいおてんばです。馬や牛と野原を駈けまわったり、草原に寝ころんでひとり夢想にふけるのが大好きです。ダンス・パーティに招待されても、慎ましやかに振る舞うのはいささか苦手です。そのうえ、アンネのお婿さんを探していた伯父さんのアテを見事にはずしてしまいました………。 | |
主 要 人 物 アンネ・カリーネ ―― ネスビュ屋敷の跡取り娘。太陽のように明るい、快活な少女。社交生活を学びに都会に出るが、純真素朴な都会の虚飾にみちた生活は気に入らない。ひとりわが道を行く彼女の行手には…… マティアス・コルヴィン ― アンネ・カリーネの父親で、ネスビュ屋敷の当主。 マント大佐 ――― マティアスの親友。コルヴィン家の一人のようになっており、アンネ・カリーネをわが子のようにかわいがっている豪放快濶な人物。 コルヴィニア伯母さん ―― 町に住むマティアスの姉。アンネ・カリーネをあずかり、厳しくしつけようとする。 ディドリク中佐 ― そのご主人。伯母さんとは違ってやさしい人。 ベルシン少尉 ―― 田舎出の朴訥な若い少尉。アンネ・カリーネの最初の親友。 ソフィー ―― ベルシン少尉の妹。足が悪く、やがてネスビュ屋敷に引き取られる。 レーマー弁護士 ― 年配の上品な紳士。アンネ・カリーネの心を強く惹きつけ、その結果…… オタール・モーゲンス ―― 野心満々たる、キザな秘書官氏。ことごとに、アンネ・カリーネの反感を買う。 モーゲンス夫人 ― オタールの母親。小気味よく人をやっつけるが、根はやさしい老婦人。 ニルス ―― モーゲンス夫人の養子で、グリム屋敷の相続人。コルヴィン家で農業の見習いをするうちに、ソフィーと仲良しになる。 |
|
裏 表 紙 解 説 よ り これはヨーロッパ大陸のさいはて、美しいフィヨルドの景観で有名な北の国ノールウェイのある地方を舞台にした、牧歌的な詩情と明るい健康な夢と希望にあふれる青春物語です。 アンネ・カリーネは美しい田園にかこまれたネスビュー屋敷の跡取り娘としてのびのびと育った15才の少女。人々からアンネお嬢さんと呼ばれていますが、このお嬢さんはいわゆるM的要素に富んで明朗活発、馬に乗って野山をかけめぐったり、草原に寝ころんで夢想にふけるのが大好き。言葉づかいから物腰の万事が少年みたいです。アンネ嬢のM過剰の原因は、彼女をわが子のように熱愛する退役軍人マント大佐のスパルタ式教育法の熱心な努力によるところ大きいのです。 見事に自分の理想通り成長した少女の姿をながめて、大佐は御満悦なのですが、ただ一人これを眉をひそめながら見てきた伯母は、アンネにレイディとしてのエレガントな教養を身につけさせるため2、3年町へやって良家の社交生活をおくらせるべきだと強硬に主張したため、彼女は町へ出てきらひせやかな舞踏会やサロンに出入りすることになりました。 しかしうわべだけしとやかな貴婦人ぶりをとりつくろう猫かむりの上流社会の人たちにがまんができるアンネではありません。田園生活そのままに自由にのびのびと振る舞って、たちまち町の人々の話題を一身に集めてしまいます。しかし計らずも美しい青年士官の出現によって彼女の不動の信念もゆるぎはじめ、ドライからエレガントな淑女に変わらざるを得なくなりました。そして、やがて年も暮れて楽しい北国のクリスマスの夜……。 思いがけない悲運が訪れ、彼女は人生の哀歓を身をもって学ぶのでした。 作者のバルブラ・リングは、原題ノールウェイの代表的女流作家で、少年少女を主題にした多くの作品があれ、この『アンネお嬢さん』は最高傑作としてヨーロッパ各国で繰り返し愛読されている名作です。 初めてわが国に紹介される北欧青春小説をご愛読下さい。 |