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表 紙 説 明
秋元書房ジュニアシリーズ21
書 名:そばかす
原 題:Freckles
著 者:ジーン・ポーター  訳:村岡花子
初 版:S32.03.25
再 版:S37.12.30
備 考:本邦初訳
 皆さんはこの本の題を見て、変な題だなあとおもうでしょう。
「そばかす」それは顔にあるあのそばかすのことです。この小説の主人公は今までのような金髪の美しい少女ではありません。顔にそばかすが沢山あるので「そばかす」と呼ばれている少年なのです。
 リンバロストの森番になった"そばかす"は大自然の中で、植物や鳥や動物と友達となりながら、これらの動物や植物をを種々と観察し研究しノートしながら勉強しています。或る日彼は森の中で美しい少女に出会います。その少女は、エンゼルと呼ばれる名前の通り天使のように清純な少女です。二人は小鳥のさえずる森の中で幼い頃の思い出や、森の動、植物について楽しく語り合いますが……
緑なす美しいリンバロストの森で、くりひろげられるそばかすとエンゼルの物語は必ずやあなた方を無限の郷愁と夢の中にさそいこむことでしょう。
    主 要 人 物
そばかす ――― この物語の主人公、右の手首を切り落とされて捨てられた孤児、自分の名も身許も知らず、顔がそばかすだらけなので、フレックルス(そばかす)と孤児院でもどこでも呼ばれている。
マックリーン ― そばかすが孤児院にいられない年になったので仕事を求めて行ったリンバロストの森の樹木を伐採するグランド・ラビス会社の支配人、スコットランド生れ。
ダンカン夫婦 ― その会社の馭者長とその妻。
鳥の小母さん ― リンバロストの森の鳥の生態をカメラに収めて研究する専門家。
エンゼル ――― 金持の実業家のひとり娘、鳥の小母さんと一緒に森へ来る。
ブラック・ジャック ─ 森の木を盗む男、仲間をいくたりか持っている。
ウェスナー ─― マックリーンの会社の使用人であったが、のちに材木泥棒になった男。
オ・モーア卿夫妻 ― アイルランドの貴族でゆくえ不明の甥を探しにアメリカへ来る。
裏表紙 解説より
 「そばかす」Freckles ─― この風変わりな題名の本は、フランスの有名な作家ルナールの小説「にんじん」の主人公と同じように、顔にそばかすが多いので、人々から「フレックルス」(英語でそばかすの意)とよばれている少年とエンゼルとよばれる美しい少女の物語です。青春期の読物に、少女を主人公にしたものが圧倒的に多い中で、とくに少年を中心にえがきながら、これほどゆたかな詩情とたかい人生的感動にとんだ作品は少ないといえるでしょう。
 20世紀初頭のアメリカの女流作家、ジーン・ポーター女史の数多い青春小説の中でも最高傑作として、不朽の価値を持つ作品です。出版されると若い人たちや家庭ですばらしい評判を呼び、ベストセラーとなって200万部を越えるという、当時としては 文字どおり破天荒な売行きを示しました。映画にもなっていよいよ人気をまし、その後毎年ごとに版を重ねて、こんにちではウィギンの「少女レベッカ」やターキントンの「セブンティーン」等とともに現代十代名作の古典とされています。
 北米インディアナ州にあるリンバロストの森林地帯を舞台に、その森の森番をしながら、美しい自然と親しみ、珍しい小鳥や植物や動物たちを友として暮らしている薄幸の「そばかす」少年と、ある日彼と森の中で出合った清純な少女エンゼルとが、くりひろげるみずみずしい情感のあふれた青春ロマンで、読む人々の胸に自然と人生へのかぎりない愛情をかきたてずにはおかないでしょう。若い人々は正しい「誇り」をもつことが大事です。正しい勤労への誇り、たえず学びつゝ進む向上心、真の美しさを求め愛する心 ─― こういう熱情こそ青春のシンボルとすれば、この中に生きたわれらの若者「そばかす」の物語は、日本の若い読者のみなさんの心に、新しい善意の生活への灯をともしてくれるにちがいないと信じます。紹介されるべくして紹介されなかったジーン・ポーター女史の名作が、訳者の麗筆によって、ここに初めて翻訳されました。


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