表 紙 | 説 明 |
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秋元文庫ファニーシリーズB10 |
書 名:私─わたくし─ 著 者:西川澄子 絵:みつはしちかこ 初 版:S49.02.20 備 考:B6判美装本あり 秋元書房ジュニアシリーズ 87 |
『婦人生活』20万円懸賞小説入選作に加筆した長篇。東宝映画化決定。 作者はティーン・エイジャー。これがはじめての小説です。 古谷綱武先生は、これほど面白く、鋭く、ティーン・エイジャーの夢を描いたものはないと絶賛されています。 私は「ムコ」高二である。出歯でそばかす、その上ガリガリだが、おてんばは人一倍! 姉の駆け落ちの手伝いに大ハリキリ、兄の失恋の真相にシンミリ、古木さんとの初ベーゼにドキドキ、初めてのビキニに母はビックリ。 | |
主 要 人 物 わたくし――私のニックネームは「息子」。それをもじって「ムコ」とも言う。3人兄弟の末っ子で17歳。人一倍背が低く、アマノジャクで毒舌家で、お転婆で、およそ可愛いい娘には縁遠い存在である。 父 ――会社の重役で、理想家肌の人物といわれている。父は、私と顔が合うと、すぐ、もっと女らしくしろという。私はこの女らしくという言葉がきらいだった。 母 ――私の「ムコ」というニックネームに一番ショックを受けたのはご本人にあらず、明治生まれの母だった。なぜなら母は私を姉同様に、女らしい娘に育てるのが望みだったからだ。 姉(直子)――勤めに出ている姉は、目下恋愛中らしい。はっきり聞きただしたわけではないが、私の第六感にはそううつった。なぜなら日に何度も鏡をのぞく。眼の大きい姉は、いっそう大きく、美しく見せようと、アイラインを入れたり、まつげを器具でひっくりかえしたりしている。 兄 ――大学に行っている兄は、私に甘い。そのせいか私も兄が一番好きである。 古木利也――兄の友達の大学生。私は、彼と夜道を一緒に歩いたことがある。彼が無口だということは兄から聞いていたが、あんなに無口だとは思わなかった。私はそっと彼の横顔を見た。鼻筋ががっしりと通り、油っけのない毛髪が夜風にさらさらとゆれていた……。 |