表 紙 説 明
YOUNG・シリーズ E59
書 名:沖田総司惜別詩
著 者:若桜木 虔
カバー絵・さし絵:大道寺 鉄(植木金矢)
初 版:S53.03.10
備 考:表記なしのYOUNG・シリーズ
表紙カバー背表紙の整理NoがE69となっているがE59のまちがいである。
2007/02/07空想少年さんより挿絵の大道寺 鉄氏が植木金矢氏であるとの情報をいただきました。
植木金矢氏は戦後時代劇ポスターの第一人者として、また少年雑誌、挿絵などで時代をつくり、今なお日本画家として活躍されており2004年1月には新撰組に関する本も出されています。
あ と が き よ り
 秋元書房のご厚意により、沖田総司の第二作を書かせていただくことができた。
 が、この作品は前作〈小説・沖田総司〉の続篇というわけではなく、これ自体で一つの独立した物語となっている。
 前作は新選組の成立過程に重点をおいて物語を運んだが、今回は、新選組の最大の敵であった長州藩との抗争に焦点を当てて描いてみた。
 そのため、かなりの部分において前作と同一時期の出来事を描くことになり、主だったところでは新見錦切腹、芹沢鴨暗殺、池田屋斬り込み、の三つの部分が重複しているが、今回は事件の底流にあったものを一段深く掘り下げており、前作と合わせてお読み戴ければ、幕末の動乱の背景について、より一層ご理解願えるのではないか、と思う。
 さて、表題にもある〈惜別詩〉であるが、この物語には幾つもの別れが出てくる。
 総司と山南との別れであり、総司と愛刀〈菊一文字〉との別れであり、山南と明里との別れであり、また天誅組の吉村寅太郎と四国屋お邦との別れである。
 桂小五郎と祇園の芸妓幾松、新選組随一の美男剣士楠小十郎の数奇なからみ合いも含めて、いずれも時代の大きな嵐に巻き込まれて起こった、個々人の力ではどうしようもなかった悲劇である。
 この他にも新選組には数え切れないほどの出会いがあり、別れがあり、悲劇があった。23歳(数え年25歳)で生涯を閉じた総司であるが、この様子ではまだ仲々に死ねそうにない。医師の娘お菊、参謀伊東甲子太郎についての話も、残念ながら次の機会にゆずらせて戴く。
 また今回も、京、大阪、河内などの言葉については、前作同様岡田貴美子さんのご指導を 仰ぎました。心より感謝申し上げます。
若 桜 木 虔