表 紙 説 明
秋元ジュニア文庫 A13
書 名:発進ドンポイ探偵局
著 者:滝 真來  絵:わたり敏也
初 版:S60.08.25
備 考:作画はさし絵というよりも、マンガのコマ割りになっています。
     表紙カバーの紹介文より
     こちらドンポイ探偵局
  事件に向かってドンドン進む  怪しい事件もポイポイ解決
  さあさあ、困った人は誰でもおいで  みんなまとめてコンビニエンス
  発進ドンポイ探偵局
 ドンポイ探偵局というのは、小学5年生の推理小説マニアが、よく小説に出てくる探偵局を実際につくちゃって、みんなでワイワイ遊ぼうってわけだ。
 メンバーを紹介すると、リーダーは須藤健太(ケンちゃん)。成績はイマイチだが、運動神経バツグン。サブリーダーは高田広志(ヒロ)。ロケットの仕組みとか、歴史上の人物とか、学校の勉強とはあまり関係のないことをよく知っている。3人目は湯原克也(カッちん)で、切手でも自転車のタイヤでも何でも集めちゃうという変なクセがある。あと2人は女の子で、山崎真由美(マミ)は、タレントにしたいほど美人で、しかも頭がいい。江口里子(サッコ)の特技は耳の早さで、探偵局の重要な情報係だ。
 さてこの5人組、どんな事件に出会って、それをどんなふうに解決するのかな?
     あ と が き よ り
滝  真 來



 かつて──それはもう20年近く(昭和60年当時より)古のことですが──世界はたくさんの問いで満ち溢れていました。……ナゼ空は青いのだろう? ナゼ水には定まった形がないのだろう? そんな理科的な問いばかりでなく、ホントに幽霊っているのかな? ホントに宇宙人っているのかな? ……などのように空想の領分に住む問いに至るまで、視線の触れるあらゆるものの中には様々なナゼやホントが飛び回り、私達子供はそれらをまるで昆虫採集の慎重さで掬い上げ、一々詳細に観察したものでした。
 そして、情報化社会といわれる現代。キーボードをチョイと操作するだけでどんな問いの答えも入取可能な子供達に向かって、ナゼ空は青いのだろう? などと真面目に質問した所で笑われるのがオチかもしれません。しかし、そんな時に浮かべる屈託のない笑いの中にも様々なナゼやホントに対する好奇心の光は潜んでいる。それが子供だ。なぜなら──少しオーバーな言い方ですが──子供の瞳から好奇心の光が消えた時、人間の進歩はそこで止まる……そんな気がするからです。
 この物語の主人公は5人の子供達です。全員好奇心旺盛で、日常生活の中に色々な事件を発見します。それらの犯人は時には自然科学の悪戯だったり、人間が作り上げた機構の気紛れだったり、突き止めてみれば警察に突き出すような類のものではないのですが、子供達はそうした捜査の過程の中で警視総監賞よりもっと価値のあるものを学ぶでしょう。それは、好奇心を糧に知らないことを知ろうとするあくなき探求心です。《後  略》