表 紙 | 説 明 | |
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秋元文庫翻訳ものシリーズC2 |
書 名:すばらしき夏 原 題:The Enchanted Summer 著 者:グレース・ジェルヴィン・キシンガー 訳 者:永井比奈子 初 版:S48.09.30 備 考:翻訳権独占 B6判あり 秋元書房ジュニア・シリーズ26 | |
「踊らない?」と彼女の耳元で低くささやくような声がしました。ふりむくと、バフ・アリソン ─ 高校生に人気のあるスポーツマンで、カレッジに行っているハンサムな男の子でした。つぎの瞬間、デビーは彼の腕に抱かれてすべるように踊りだしていました。なにか重大なことの始まりだという予感に、彼女のちいさな胸はときめきました。 内気な高校2年生デビー・グレグがおめかしして出かけた体育館の卒業舞踏会≠フ夜から始まる、ティーンのナウなデイト物語。 「すばらしき夏」のポケット版刊行。 この作品は、一世代前のティーンの間ですばらしい評判になった秋元書房のジュニア・ノベル・シリーズの1冊として出版されたものですが、こんど新装の文庫版として刊行される機会に、訳文に手を入れました。 1973年3月
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主 要 人 物 デボラ・グレッグ ―― (愛称デビー)、メイプルウッド高校の2年生で16才の少女、ブルーネット色の髪をしている。この物語の主人公。二人姉妹の次女。 アイリーン ――― デビーの姉、美人の若い未亡人で、子供のキットを連れてグレグ家へ帰り銀行で働らいている。 ジェーン・フィスカス ― デビーの親友の女の子。同級生。 トム・パーカー ― デビーのボーイフレンド。高校4年生。 バフ・アリソン ─ スポーツ万能選手で女の子に人気のある大学生。長身の美男子で、父は工場労働者で裕福でないためスポーツ奨学資金でカレッジに通学している。 キャロル・シェリダン ─ バフたちの父が働らく工場の持主の令嬢。おしゃれなブロンドの美人。 ポール・ホリスター ―― デビーの父の保険会社に働らく弁護士、独身でものわかりのいい青年。アイリーンに好意を寄せる。 タイニイ・マホニイ ―― マスタングス・チームのマネージャー兼捕手。 メリイ ――― タイニイの夫人。 |
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日本の読者のみなさんへ ―― 「すばらしき夏」は、アメリカのごく普通の小さな町に住むティーン・エイジの代表的なアメリカの少女、デボラ・グレグの物語です。ですから、あらゆる点でデボラのこの物語は、典型的なアメリカの物語といえるでしょう。私は、いずこの国の少女であれ、初恋の経験をしたデボラに対して、理解と同情よせてくださるだろうと思います。というのは、デボラはかしこく美しい少女ですが、彼女はまだ若いのです。多くの少女とおなじように思慮分別が十分だとはいえません。ですから結果的には、デボラの最初のロマンスは彼女が夢みていたように満ち足りたラブとはならなかったのです。 私はみなさんがこのデボラ・グレグの物語を楽しく読み、そして彼女とそのすばらしき夏≠いっしょに味わってくださるとともに、彼女の心の中にあなたご自身のすがたをみつけてくださることを願っております。 1957年4月20日 ← 文庫版ではこの日付が削除されています。
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