表 紙 説 明
秋元文庫ファニーシリーズB65
書 名:困った年頃
著 者:川上宗薫  カバー絵:東 幸見
初 版:S51.12.20
備 考:B6判美装本あり
     秋元書房ジュニアシリーズ 173
 景浦千麻子は、美人の部類からはほど遠い存在だが、色白でなんとなくかわいらしい感じのする高校生である。彼女には小さな秘密があった。それは、通学電車でときどき一緒になる先輩の及川茂雄を心の中でそっと想っている事であった。
 そんなある日、親友で少し横の方に発育しすぎた朝永ゆりがビッグニュースを持ってきた。「十二指腸」と叫んで、美しい体操の平里子先生が国語の武藤先生をなぐったというのだ。二人にはなにかありそうである。武藤先生は、なんとなく威厳のある男の先生である。クラス一の腕力家の坂重太なども、先生には一目おいている。
 帰り道、千麻子は、また電車で及川と一緒になった。千麻子の胸は幸福でいっぱいになった。しかし千麻子が見ているとは知らない及川は、少し不良がかった美人の京屋はるみと親しげに話しているではないか。千麻子にはショックであった。さて、彼ら困った年ごろの連中の活躍をお楽しみください。
     主 要 人 物
景浦千麻子 ── 山野原高校2年生。一見決してスマートではない。足は太い方だし、体の方も多少太り気味である。顔の中の目や鼻や口などはアンバランスで、少しもととのっていない。だがかわいい女生徒である。
朝永ゆり ─── 千麻子のクラスメート。
坂  重太 ─── 千麻子やゆりと同じクラスの男生徒。少しオッチョコチョイ。女の子の中のオッチョコチョイのゆりとはよくけんかをするが、勝ったところを見たものはいない。
武藤 武 先生 ─ 千麻子たちの担任。専門は国語。28歳で独身。生徒の人気では毎週トップである。
平 里子 先生 ─ 体育の先生。独身、ダンスが専門。地味なかっこうをしていても派手な感じを与える美人。
及川茂雄 ─── 山野原高校出身の大学1年生。高校時代から秀才のきこえ高かったが、今は秀才らしくない。
京屋はるみ ── 千麻子と中学が同級。築島女学院の2年生。あまり勉強ができず、不良がかっている